ノイズ対策

6mAM 配電線ノイズ対策のまとめ      

 受信機から聞こえる雑音は無線家には聞き馴染みのあるもの、聞こえても聞こえなくても心配や悩みの種です。
6mAM愛好家にとってノイズは、時に交信できないほどの雑音となり、目的の信号を聞こえにくくする厄介者、
なんらかの対策が必要でしょう。
私の固定では、ノイズ源がほぼ配電線の碍子とわかり、それから1年以上かけてほぼ解消出来たのでまとめます。

2017年12月 【ノイズの確認、ノイズの特定、電力業者への相談、対策工事】
 ・固定設置前の調査で敷地の北S9、西S7、南S7、のノイズ信号を確認。
・ノイズの発生源の特定は144MHzAMでFT-817ND+144MHz八木使用。
・高圧配電線6600V用2個連碍子付近と確認。
・電力会社カスタマーセンターに電話し対策要請。
・数日後、電力会社(パワーグリッド作業員)の現地確認。
・1週間で敷地南、電柱上の2個連碍子を対策。
(雑音防止用金物を複数の連結部に挿入し導通させる方法)
 ・南S7からS3に低下、他のノイズ信号も受信しているためS3が限界。
 ・電力は金物を常備せず、別の工事の残りを使用。部品確保後の追加工事を約束。
 
2018年 1月 【自局設備の整備、ノイズの変化を調査】

 ・固定アンテナの設置工事完了。地上高16m50MHz7エレ、北S9。

2018年 2月 【追加の対策工事、ノイズの変化を調査】
・ノイズ対策工事の連絡があり、今回は北方向の碍子が集中する場所を依頼。
・電柱2本、12個の2個連碍子、全ての碍子連結部に雑音防止用金物を挿入。
・圧接挿入の作業中に、北S9がS1までノイズが下がる事を確認した。
・作業を終え作業車バケット下降でS9程度までノイズ再上昇。比較するとまし。
・ノイズ発生源は間違いなく碍子である。しばらく様子を見ることにした。

2018年 3月 【自局設備の工夫、ノイズの質や量の変化等を調査】
 ・ダイレクトサンプリング受信機でRF信号を最大に増幅しブランカーを切る方法。
  (IC-7300内部PRI2ON+外付プリ20dB挿入かつNB切でなぜか良く聞こえる)
 ・ノイズのバンドスコープ観察、ノイズの遅延、配電線アンテナ説を調べた。

2018年 4月 【追加の対策工事、ノイズの変化を調査】
 ・西側の2個連碍子対策工事、この日S9あったノイズはS2以下に低下した。
 ・工事の様子とノイズの変化を動画にまとめた。https://youtu.be/dbwhodPOMbM

2018年 8月 【追加の対策工事、ノイズの変化を調査】
 ・北側の配電線から受電している事業所への引き込み部分も対策依頼。

2018年10月 【自局設備の工夫、ノイズの質や量の変化等を調査】
 ・ケンウッド社ノイズ・ブランカー、タイプ2単独とタイプ1併用の効果性確認。
2019年 1月 【ノイズの質や量の変化等を調査、電力業者への相談】
 ・北側の2個連碍子ノイズと冬の北風の影響でノイズS9を越える。
 ・北側の交信困難が続き限界、電力会社に相談し碍子全対策品に交換を検討。
2019年 6月 【自局設備の整備、ノイズの変化を調査、電力業者への相談】
 ・年度をまたぎ数回の進捗確認、交通規制・停電計画・部品調達後に工事と約束。
 ・アンテナ変更、地上高16m50MHz8エレ+HF八木、ノイズ北S若干低下。

2019年 7月 【電力業者による対策碍子工事、最終、ノイズの変化を調査】
 ・2個連耐張碍子を中実耐張碍子に交換する工事、北側S9〜2以下へ変化。
 ・敷地北側の配電線ノイズ改善で、全方向ノイズが低下しNBほぼ不要になった。
 ・改善状況を伝え、お礼の電話をかけた。 依頼した一連の対策はこれにて終了した。

 私たちアマチュア無線局は生活圏にあるのが一般的で、生活と趣味のバランスを考えると人工ノイズから離れることは困難です。
自局の敷地とアンテナのすぐ脇にある重要インフラとしての電柱、そこには交流6,600Vの高圧の配電線があり、
その高電圧に耐えられる特殊な碍子が使われています。こちらもバランスが大切で、
高電圧を安全かつロスなく配電するため碍子はとても重要な部品ですが、数が多いため高価な物は使いません。
2個連耐張碍子は塩害のない地域では価格と性能でベターな部品のようですが、
金属の連結部分の導電性がしばしば低下し電位差が生じることで電気ノイズが発生します。
この電位差をなくすため雑音防止用金物を差し込み圧接します。これで一定の雑音防止効果は得られますが、
根本的に電位差の生じない構造の碍子にすれば確実な対策となります。そのためのベストと思える部品が、
構造的に中間に接続部分のない碍子である「中実耐張碍子」中実とは内部まで空洞でない構造を指します。
ただ、残念なことに2個連耐張碍子よも高価であることが普及しない理由でしょう。住宅街の電線を見上げて歩くと、
碍子やカバーなどは使い分けされ、それぞれに何かの理由があってベター・チョイスとしての部品が使われているのだろうと想像しています。
 今回の様に長い期間かけなくても、ピンポイントで工事を依頼する方法もありそうです。
また、電力会社ではノイズ減少に効果のある対策工事をしてくれますが、ノイズが実際に減ることを目的に確認まですることはあまりありません。
効果があったか無かったか、どこまで追い込むかは私たち自身にかかっています。
しっかりとフィードバックすることで、二人三脚のような関係で無線家としての課題を解決することが良いでしょう。
  

前回までの対策

・北側 事業所への引き込み線の2個連碍子は2018年12月26日に終了したとの報告。
しかし、雑音が高い! 2018年2月の対策箇所のクリップ工事が不十分ではないか、
その時にも感じたが、対策中にテンションの変化等で金属酸化膜形成箇所の導通が確保される
または、配電線路の雑音がバケット車との容量成分の結合?でグランドに落ちる?など
変化すると、雑音が消え静かになったことからして、これはもう対策碍子の導入しかない。
電力会社の担当者も、北風で揺れる配電線を観察して、ここが一番揺れている。
対策、方法を検討して、必ずやります。と言ってくれた。
後日比較のために動画を撮影して保存した。
現状、2019.01雑音の高い日に撮影しておくことにした。

・北側の一番奥の2個連対張がいしと受電事業所の引き込み部分から日和見的に雑音がでる。
電力に連絡して対処を依頼した。 現在部品調達と工事計画中である。2018.08.20

・追加の碍子雑音対策を行ってもらったところ、かなりの効果があった。
「高圧配電線路の二個連碍子雑音対策」

・ノイズがなくならないなら、とにかく正体を知りたい。
そんなことで、スペアナを使って観察してみた。
「配電線路のノイズ 続き 観察」

・外付けプリアンプを使用することで、高ノイズ環境での明瞭なAMモード受信に明らかな効果があった。
配電線路ノイズは電力会社の対策が行われても大幅な改善には至らなかった。
そこで、かつて使用したプリアンプをつないで到来する電波を極端に増幅する実験を行った。
高ノイズ環境下のAMモード運用時に外付けプリアンプの効果を実験動画はここ。

・高圧6600Vにおける「配電線路のノイズ発生源を確認する実験」に続き、
ノイズの高い環境下の運用「NBノイズブランカーの効果AMモード」実験、
そして今回は原因対策として電力会社に碍子放電対策をしてもらった。
電力会社に碍子の放電対策をしてもらった「配電線路のノイズ 続編」 動画はここ。

・NB ノイズブランカー を使ってノイズの影響を減らすことはできるのか?
 FT-991と TS-590 を使ってノイズブランカーの効果を確認してみた。
 「NBノイズブランカーの効果AMモード」動画 はここ。

・無線実験場を整備して本格運用するにはノイズ対策が不可欠だ。
特に冬場は電柱の上にある高圧配電線路の2個連碍子による雑音が交信の妨げになる。
対策を依頼しつつ、自分でノイズの発生源ほ探す実験をしてみた。
「配電線路のノイズ発生源を確認する実験」 動画はこちらから。

・2018年2月 いよいよ2個蓮碍子策工事。 たくさんの碍子を対策するにはそれなりに時間がかかるそうだ。
というわけで、最も雑音の大きい北方向の配電線路を対策してもらうことにした。
結論から言えば 対策前よりはマシになった。 工事中に雑音のほとんど無い状態
になったのだが、作業員がその場を離れるとまたノイズが上昇する。

今回をまとめると、 
☆作業員はノイズを下げるために原因を究明して対策はしない。
☆対策品を取り付けたら工事は終了する。 
  (前回は本当に対策可能か確認したこと自体例外)
☆配電線路の碍子自体を交換しないため、碍子自体の不具合があれば解消されない。
☆碍子自体の不具合を確認する方法が見つからない。
(知っている人がいたら教えてほしい)
☆集中定数回路でなく、分布定数回路だから、LCRが様々な条件で存在する。
(バケット上昇と雑音低下には関係があるはず)
☆雑音が特定されにくい、配電線路がアンテナにもなる。
☆雑音のメカニズムに詳しく、どの碍子がなぜか説明できるプロが(費用はかかるが)必要かも。
☆雑音特定方法は昭和東北大学の論文「送配電線から発生する雑音源の探知機」(佐藤、菅原)がある。

・2017年12月 冬 空気の乾燥とともに高圧配電線路のノイズが気になるようになった。
空き地で4エレを立てて測定するとIPOでNBなしだとS9〜5程度の
強力なノイズが観測できる。 以前からノイズレベルの高い場所が
あるとは思っていたが、付近の配電線路が影響しているようだ。
電力線のない場所で運用するときは、たいていノイズも少ない傾向にある。 
たまには予想に反して電力線のない場所もノイズが高いことがあるが
今回は電力で間違いなかった。
電力会社に連絡すると、早速当日中に電話があり、ほぼ翌日に下見、
対策もそのまた翌日と、超高速での対応をしてくれた。 
事実困っているのだが、住んでいるわけでもないのにありがたい。

対策は、実際に観測しながら行われる。つまり、受信機を自分が操作して、
電力会社の監督の方が横で確認、同時に高所作業員が対策を行って結果を確認する。
たぶん、ウルトラホンという音響観測もどこかでは使われているだろうが、
受信機への電波障害となれば、受信機で観測するのがいちばんの方法です。

雑音の発生メカニズムは、2個連碍子(にこれんがいし)間にある金属接続部分の導通が悪くなり、
その一部の表面で放電して導通する箇所ができるため、帯域の広いノイズが発生するということらしい。???
今回も、作業員の方がバケットで上がると「ジー」という放電音がはっきり聞こえると伝えると言っていた。
対策は下からは良く見えなかったが、Sメーターで7だったこの電柱方向では3程度まで下がった。
この程度か、と思うが全部をなくすには、かなり遠方の碍子まで対策が必要だろう。
だから、ある程度下がったところでNBを使用して問題ない程度におさえるしかないと自分は考える。

雨が降るとノイズが低下するとか、電力をたくさん使用すると下がるなど、いろいろな情報がある。
2個連碍子の金属に発生する酸化膜などの経年変化もそうだが、たぶん線路のLCRなどの成分により、
放電現象による不要な電磁波の空間への放出にも変化が出るはずなので、これは見つけ次第対策して
もらうより方法はなさそうです。

また、単純に言えませんが、住宅街よりも郊外の方がこのような碍子を使用している場所が多いようで、
部品の違いも影響は大です。   どのような基準で対策品の碍子を取り付けているのかは不明。
そんなわけで、住宅街のほうが配電線路の高圧から発生するノイズ自体は少なそうです。別のノイズが増えますが・・・つづく

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